プーシキン  冬 の 道

流れる霧のあいだから
月があらわれ
悲しげな草地の雪に
悲しげに光をそそぐ。

さびしい冬の夜道を
トロイカはひとりいそぐ。
ひとつ調べの鈴の音(ね)が
胸にものうくひびく。

馭者のだるげな歌ごえにも
身にしみる調べがこもる。
さやぐ宴のざわめきか
胸のいたみの思い出か……

灯(ひ)もなく 黒い小屋もなく
ゆけどゆけど雪の荒野原……
おりふし道のべの縞塗りの
道しるべにゆき会うばかり。

胸がふさがる ニーナよ あすは
いとしいおまえのもとに帰って
暖炉のまえで すべてを忘れて
こころゆくまでおまえを見つめよう。

時計の針が 音たかく
ときを刻んでゆく下で
だれからもわずらわされずに
おまえとふたりで夜をすごそう。

ああ ニーナよ さびしい道だ。
馭者はまどろみ 歌をやめた。
月影は霧につつまれ
鈴の音ばかりものうくひびく。

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