探検家列伝第4部 その1 松前藩の祖「武田信廣」と松前藩

18世紀後半から19世紀前半にかけて活躍した日本の探検家達を取り上げる前に、江戸幕府から日本の北の辺境の地である蝦夷地(北海道、樺太、千島)の支配権、交易権を公認されていた松前藩について簡略に記する。
渡島半島の南端にはアイヌ文化成立の前段階である擦文時代には、擦文文化と本州土師器文化の間に生じたクレオール(植民地)的文化である青苗文化が成立していた。
鎌倉時代から室町時代中期にかけて、この文化を足がかりにここに和人の移住が起こった。
これらの和人は渡党と呼ばれ、津軽安東氏の支配下に置かれたが、道外の和人からは蝦夷の一部と見なされていた。
十三湊の安東氏が、宿敵南部氏との戦いに敗れ蝦夷地へ逃れて、配下の武将を12の館に配置した。

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花沢館は15世紀頃、渡党(わたりとう)と称する本州系の人々が、北海道南部への進出拠点として築いたとされる道南12館の一つである。
この頃の渡島半島は津軽の安藤氏の支配下にあり、「下之国」(北斗市(旧上磯町)を中心とした地域)、「松前」(松前町を中心とした地域)、「上之国」(上ノ国町を中心とした地域)にそれぞれ守護が置かれていた。
本道最古の記録「新羅之記録」に1457年のコシャマインの戦いの際に花沢館の館主蠣崎季繁や客将の武田信広がこの館を堅く守ったことが記されている。

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ここは洲崎館跡であるが、1457年のコシャマインの戦いで功をあげた武田信廣が上之国守護蠣崎季繁の養女である安藤政季の娘を妻とし、同年築いた館であると書かれている。
洲崎館は、蠣崎氏を継いだ蠣崎(武田)信廣夫婦の新婚の住まいであった。
その後信広は夷王山の麓により強固な勝山館を築いたが、この館は一度も中央突破されたことのない難攻不落の館だった。

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だが、勝山館のある上ノ国は天然の良港に恵まれ館を置いておくには絶好の地ではあったが、和人の権力の中心はこの時点でもいまだに安藤氏の支配する大館(松前)にあった。
勝山館には倭人に友好的なアイヌ人も住んでいて、信廣は彼らを使い大館に君臨する安東氏を滅ぼし、権力の中心である大館(松前)に進出し松前藩の祖となった。

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ここは松前藩の開祖武田信広を祀った夷王山頂の夷王山神社で、新年には歴代の松前藩主が松前からここまで来て参拝していたという。
ここからは信廣の子孫で松前藩の第5代当主蠣崎慶広と、松前藩の象徴となった蝦夷錦の話となる。
1953年正月、秀吉が朝鮮出兵の拠点として秀吉が築いた北九州肥前の名護屋城に一人の武将が謁見していた。

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その武将は絹地に龍や雲の細密な刺繍を金糸や銀糸で施し、裏には手引白木綿地と水色絹地が用いた異国風で見事な胴衣を身につけていた。
この武将こそ蠣崎慶広であった。
秀吉は「狄の千島の屋形」が遠路はるばる参陣してきたことは朝鮮征伐の成功の兆しであると喜び、慶広に望みの朱印状をあたえ蝦夷地支配を認めた。
慶広は朱印状を領民に示すとともに、アイヌを集めてアイヌ語に翻訳し、自分の命に背くと秀吉が10万の兵で征伐に来ると伝え、全蝦夷地(樺太、北海道)の支配を確立した。
また、謁見の際引見した徳川家康は、子供のようにその胴衣を無心し、慶広はその場で胴衣を脱ぎ、家康に献上したという。

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また1598年に秀吉が死去すると、徳川家康と誼を通じ、1599年に家康の臣従を示すものとして蝦夷地図を献上した。
また家康に許され、姓を家康の旧姓の松平と前田利家の前をとって松前に改めた。
1604年に家康より黒印制書を得てアイヌ交易の独占権を公認された。
松前氏は大名格とみなされ、慶広は松前藩の初代藩主となった。
これほどまでに松前氏と松前藩の格を高めた蝦夷錦は、実は慶広自身も詳細は分からず、アイヌから入手したとしか語らなかった。
人々は蝦夷地のさらに北方の文明国の存在を想像し、ますます高価な価値を持ち、僧侶の袈裟やふくさに使われ、また京都の祇園山鉾も飾り、さらに松前藩の江戸幕府への献上品ともなった。

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蝦夷錦(山丹服)は、アイヌ民族が沿海州の民族との交易で入手した、雲竜などを織り出した中国産絹や官服のことである。
かつてアイヌは北方のツングース系民族とも交流があり、彼らと山丹交易と呼ばれる交易を行っていた。
山丹交易とは、江戸時代に山丹人(山旦・山靼とも書く。主にウィルタ族の他、ニブヒ族、オロチョン族など沿海州の民族)とアイヌとの間で、主として樺太を中継地として行われた交易のこと。
この交易の全体像は環日本海というスケールで、中華王朝が黒竜江下流域に設けた役所での朝貢交易から、山丹人やアイヌを介しての蝦夷地の和人(松前藩)までの交易をさした。

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