ネクラーソフ「赤鼻の酷寒(マロース)」 最終回 抜粋

わが百姓女が手に入れた恍惚が
よし、どれほど高値につこうとも 何の不足が
そこにあろう? かの女はほお笑んでいる
われらはかの女のために悲しむまい。

森の贈る 静けさにもまして
深く、甘やかなものはない
冬空の 寒さの下に身動きもせず
戦(おのの)きもせず 立ちつくす時。

何処として、ここより他に こんなにも深くのびのびと
疲れた胸の息づける処はない
さればもし、もはや生きることがかなわないなら
ここで眠り入るほど、甘やかなことはないのだ!

    ⅩⅩⅩⅥ

音もなく! 一つの魂(たましい)は死んで行く
嘆きと、また、苦難の魂は。立ちつくし
そして感ずる、死の静寂が
この魂にうち克って行くのを。

音もなく! きみは見る、青い
大空 太陽(ひ) そして森
白銀(しろがね)の霜帯びて
不可思議にみちみちた森

え知らぬ神秘をもって招きよせ
深くもまた冷然たる森……しかし、それ
ふとも聞こえる かそかなひびき──
梢を栗鼠の渡り行く音。

投げ落す 一塊(ひとくれ)の雪
ダーリアの上へ──松の梢を渡る時。
しかしダーリヤは立ちつくし、凍えて行く
うつつない、その夢の中で……

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