「日本最長10河川の旅」での釣り 利根川その2 奥利根湖の矢木沢ダムにて

 奥利根湖八木沢ダムの建設によって出来たダムである。昭和42年8月完成したダムだが、ここに溜まる水の量は2億430万㎥、25mプールの68万個分に相当し、東京都の人たちが一日に使う水の量の約44日分という。

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 矢八木沢ダムに代表されるように、ここ奥利根のダムは首都圏の水がめとして使われており、環境保護団体から言わせれば、奥利根の自然を破壊して、首都圏の生活が成り立っているというところであう。

 ダムの建設により、河川環境が極端に変わり、死の川などと言われている河は沢山ある。

 2002年に旅した信濃川の妻有郷の里である津南から十日町にかけては、東京電力のダムに河川のほとんどの水が取られ、この区間にはまともな魚のすめる環境が無くなった事実がある。

 都市生活者の便利さと引き換えに、河川の環境破壊が日本全国で繰り返されている。

 一番被害を受けるのは、河から故郷に帰ってくる、鮭や鱒の仲間である。彼等の産卵地は河川の最上流のよどみのある人間の目に付きにくい場所が一般的であるが、そこへ遡上するにも、ダムや堰堤が邪魔をし、産卵できないまま、死んでいく魚たちが増えている日本の現状である。

 魚道などによって道をつけてはいるが、やはり十分な対応とは言えない。この魚たちにとって住みにくい場所となった奥利根は、他の動植物にとっても昔より生息しにくくなったということになるだろう。

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 そして、奥州藤原一族の末裔が暮らしていた奥利根の生活も変わって行く。狩猟採取や農業や林業を中心に生活していた彼等の生活は、都市化の波に飲まれ、山から都会へ恒常的に流出していく若者達を生み出し、山にますます年寄りしか住まない状況を作っていく。

 高齢化社会の指標となる65歳以上の人々の割合を調査すると、このあたりの里山に住む人たちの中で高齢者の割合は30%以上、もしかすると40%くらいになるのかもしれない。

 ここと同じ利根川支流である神流川源流地の 上野村 を拠点として半農半学の生活をして来た、哲学者であり山女釣師でもある内山節の幾冊かのハードブックを読んでみたが、やはり日本の山村の寂れ方は相当なものであり、内山節の常宿としていた奥多野館は、主人の高齢化と河川環境の悪化で、僕が旅した2002年の夏には閉館していた。

 奥利根湖からは、カワゴ山(1594m)や幽の沢山(1735m)が見えていた。それらの山の向こうには源流の最初の一滴となる三角雪田を有する大水上山がある。

 藤原郷のマタギの末裔の中島仁三郎さんなら、ここから一日で源流まで辿り着く。だが、何の装備も知識も経験もないには、そこへ辿り着く前に源流に転落するか、それとも運が悪ければ熊にあって、餌になるかということになる。

 奥利根の森は深く、慣れたものでもけっこう大変なところだというから、源流地へ到達した良い夢を見ることにして、この源流に一番近い地を去ることにしよう。

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