奈良散歩 その22 興福寺三重塔
猿沢の池を過ぎて、この階段を上って、南円堂の方角に歩いていく。
南円堂の中にある国宝の不空羂索観音が現在特別公開中ということで、階段道の両脇にびっしり「不空羂索観音菩薩」と書かれた幟旗が並んでいる。
今は南円堂は目的の建物ではない。
階段の真ん中あたりで左手に曲がって、観光客の回遊ルートから外れている目立たない静かな道を歩いて行く。
そのまま真っすぐに歩いて行くと、樹々の間から塔のような建物が見えてくる。
樹々を抜けるとその奥から、まことに美しい三重塔が見えてきた。
東金堂や五重塔や南円堂といった興福寺の主要部周辺のような混雑とはまったく無縁で、この塔は知名度も低く、興福寺の穴場スポットとなっている。
三重塔がはじめて建立されたのは平安時代後期の1143年のことで、崇徳天皇の中宮の方が建立させたことに由来するという歴史を持っている。
奈良時代に建立された興福寺の多くの建物は、1180年の平重衡による南都焼討の被害を受けて完全に焼け落ちてしまった。
しかし、この三重塔は鎌倉時代に迅速に再建されると、その後の災害や戦災、また廃仏毀釈のうねりなども乗り越えて、現在の興福寺の中では北円堂と並び最古の建築物となっている。
先ほど猿沢の池越しから興福寺の偉大なスーパースターである五重塔を見たが、私的にはこの小ぶりで控えめな三重塔の方がずっと好きである。
この三重塔の造るなんとも言えない安らかな癒し空間にいるだけで、気分が良くなって幸福になれるような気がしてくる。
この興福寺のリトルスーパースターをいつまでも見ていたかったが、日程の都合もあり、次の南円堂に向かった。







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