テーマ:フィールドノート(詩集・詩)

プーシキン  冬 の 道

流れる霧のあいだから 月があらわれ 悲しげな草地の雪に 悲しげに光をそそぐ。 さびしい冬の夜道を トロイカはひとりいそぐ。 ひとつ調べの鈴の音(ね)が 胸にものうくひびく。 馭者のだるげな歌ごえにも 身にしみる調べがこもる。 さやぐ宴のざわめきか 胸のいたみの思い出か…… 灯(ひ)もなく 黒い小屋…
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冬の朝  (プーシキン)

冬の朝  (プーシキン) 凍てつく寒さ 陽のひかり 青い空! かわゆい友よ ねむっているの?── いとしいひとよ 起きなさい。 君のやさしい目をあけて 北の夜空の星のように 北のオーロラを迎えなさい! きのうの夜は雪のあらしが吹きすさび おぼろな空には霧がたちこめ 黄いろい月が色あせたしみのように む…
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ネクラーソフ「赤鼻の酷寒(マロース)」 抜粋 その5

《あたたかいか、おまえは、若い女よ?》 高い松の梢からよびかける。 ──あったかいです! と寡婦はこたえる 事実は、寒くてふるえてるのだ。 酷寒(マロース)は少し下へ降りて来て またもや矛をふりまわし 一層やさしく 一層おだやかにささやく 《あたたかいかな?……》──あったかいです、とっても  あったか!── …
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金縷(きんる)の衣 杜秋娘

金陵(南京)の街に年若き人気妓女がいた。 名を「杜秋娘」(としゅうじょう)と言う。 唐の徳宗のときの地方官吏、「李錡」(りき・浙西観察諸道塩鉄転運使)は杜秋娘に惚れて愛妾にした。 杜秋娘はそのときまだ15歳だった。 揚子江の金陵あたりの流れは清く、そこで生まれた女性は容色が優れているといわれ、その中でも杜秋娘は格別で、紅おし…
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春望

 国の都の長安は戦争で破壊されてしまったが、山や河は昔のままである。  町にも春が来て、草木は深く生い茂っている。  このような戦乱の時世を思えば、花を見ても涙が落ちる。  家族との別れを悲しんでは、鳥の鳴き声を聞いても心が痛む。  戦乱ののろし火は、もう何ヶ月も続いていて、家族からの手紙は万…
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ネクラーソフ「赤鼻の酷寒(マロース)」抜粋 その4 

《みるがいい、若い女よ、もっと大胆に 酷寒(マロース)の主がどんなものだか! このわしのように 若者よりも一層力強く、美しい者を おまえは一度でも見ることがあったか? 吹雪も 雪も、また霧も いつも酷寒にはへりくだっている 八重の潮路の大海に行き── そこに氷の宮殿(みや)をたてよう。 わしはおもいきめたの…
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香炉峰の雪(例の清少納言の・・・) 白居易

日高睡足猶慵起 小閣重衾不怕寒 遺愛寺鐘欹枕聽 香爐峰雪撥簾看 匡廬便是逃名地 司馬仍爲送老官 心泰身寧是歸處 故郷何獨在長安 (読み) 日高く睡り足るも、なお起くるにものうし 小閣にしとねを重ねて寒さをおそれず 遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き 香爐峰の雪は簾をかかげてみる 匡廬(きょうろ)はすなわちこれ名を逃るる…
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朱熹(朱子先生)   偶成(ぐうせい)

   少年易老学難成  一寸光陰不可軽  未覚池塘春草夢  階前梧葉已秋声  少年、老い易く、学成り難し。一寸の光陰、軽んずべからず。  未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢。  階前(かいぜん)の梧葉(ごよう)、已(すで)に秋声。    詩に云う。若い時はうつろいやすいもので、あっという間に…
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少年行  李白

 少年行  李白     五陵の年少 金市の東     銀鞍白馬 春風を度わたる     落花踏み尽くして     何れの処にか遊ぶ     笑って入る     胡姫の酒肆の中   五陵の遊侠の少年たちが、金市の東の盛り場で   銀の鞍をおいた白馬にまたがり、春風の中わとおりすぎてゆく …
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江南の春  杜牧

 江南の春  杜牧       千里鶯啼いて緑紅に映ず        水村山郭 酒旗の風       南朝 四百八十寺       多少の楼台煙雨の中  当時の人が「江南」といったとき、連想するのは広い農村と古い都。広い農村の春には明るい晴れの天気が、古い都の春にはしっとりとした小雨がよく映る…
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ネクラーソフ「赤鼻の酷寒(マロース)」抜粋 その3

ネクラーソフ「赤鼻の酷寒(マロース)」抜粋 その3 マーシャは父親にさけぶ ──父ちゃん、あたいもつれてって! 袋の上からとび下りて──ころがった 父はだき起こした。《泣くでねえ! すりむいた──あぁに、たいしたことねえだ! むすめっ子は俺(お)らにゃ手に負えねえ もう一人、あんなわんぱく小僧を 春までに…
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青銅の騎手──ペテルブルグの物語── プーシキン

  序  言  この物語に書かれた事件は事実によっている。洪水の詳細は当時の記録からとられたものである。好事家はヴェ・エヌ・ベルフの編纂になる記事によってただすことができる。   序  詩 荒寥とした水の岸辺に、 彼*はたっていた、偉大な思いにみちて、 そして遠くを眺めていた。彼の前には広々と …
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ネクラーソフ「赤鼻の酷寒(マロース)」から抜粋 その2

さもあらばあれ 農奴の妻のものがたりを われらはおもいついた 話そうために すばらしいスラヴ女の型というものが 今もなお みつけ出せるということを。 ロシヤの農村(むら)には女がいる しとやかできりりとした顔かたち たおやかで 力づよいものごし 歩きぶりも 眼ざしも 女王のような! 盲なら気づき…
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ネクラーソフ「赤鼻の酷寒(マロース)」から

>「赤鼻の酷寒(マロース)」 (ほんの一部抜粋) 群(むら)松の梢に風が吹き荒れるのではなく 丘から小川が流れ下るのではなくて 冬将軍が巡視のために わが領内を歩きまわるのだった。 眺め渡す──吹雪はうまく吹雪いているか 森の小道はかき消されたか どこかに、ひびわれや裂け目はないか どこかに、…
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ロシア人が遠くに旅行したくなる「プーシキン」

 あるロシア文学者がプーシキンについてこう語っている。  「プーシキンを読めば、ロシア人は遠く旅行をし、多くの本を読んだような気分になれる。」  ロシアではすべての人がプーシキンを知っている。  プーシキンの名前を聞くとロシア人の心は喜びと軽やかさと感謝でいっぱいになるという。  プーシキンと同時代の作家ゴーゴリは「プ…
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「純情小曲集」より「旅上」(萩原朔太郎)

ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し せめては新しき背広をきて きままなる旅にいでてみん 汽車が山道をゆくとき みづいろの窓によりかかりて われひとりうれしきことをおもはむ 五月の朝のしののめ うら若草のもえいづる心まかせに
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旅人かへらず 西脇順三郎

旅人は待てよ このかすかな泉に 舌を濡らす前に 考へよ人生の旅人 汝もまた岩間からしみ出た 水霊にすぎない この考へる水も永劫には流れない 永劫の或時にひからびる ああかけすが鳴いてやかましい 時々この水の中から 花をかざした幻影の人が出る 永遠の生命を求めるは夢 流れ去る生命の…
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マチュ・ピチュの高み』第七の歌 おんなじ一つ深淵の死者たち

マチュ・ピチュの高み 第七の歌  第七の歌 おんなじ一つ深淵の死者たち おんなじ一つ深淵の死者たち 深い奈落の亡霊たちよ こうしてきみたちの偉大さにふさわしいスケールで すべてを焼きつくすようなほんとの死がやってくると 穴のあいた岩から 深紅の柱頭から 階段状の水道から きみたちは転げ落ちた 秋のなか…
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チリの国民的詩人 パブロ・ネルーダの詩「ぶどう酒」

ネルーダ・ぶどう酒  1971年にノーベル文学賞を受賞したチリの国民的詩人であり  反ファシスト活動家でもあったパブロ・ネルーダ  彼の詩集の中に「ぶどう酒」という詩がある。  それは大地の恵みを皆で飲み、そして歌おうという、祖国や民衆に思いを馳せた高らかな叫びの詩。  彼は外交官、政治家でしたが、大衆のために働く…
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丸山薫の詩

 「釣り師」のオフシーズンの楽しみと言えば読書となる。   そんな生活の中で、丸山薫のこんな詩を見つけた。  「 釣り師」の心に沁みます!!!  狼群      狼の群が旅人を追っていた      日没になると かれらは      野営の焚火(たきび)をとりまいて迫った      旅人は薪(ま…
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ガルシア・ロルカの『ジプシー歌集』から夢遊病者のロマンセ

 ラテンアメリカは大航海時代のスペイン、ポルトガルに発見され植民地化されて今日に至っているので、良かれ悪しかれ、この両国の影響を今でも引きずっている国々がほとんどである。  この両国の好みがラテンアメリカ人気質にも反映して、ロルカはラテンアメリカ人には人気のある詩人である。  彼は、多芸の人で音楽家、ピアニスト、画家等も兼務し、その…
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