2番目の私

 昔々のその昔、ネットで知り合ったるるさんの「2番目の私」
 この方は小説家も出来そうな方で、人をひきつける話を書くのがうまい。


二番目の私


小学校4年生の時だった。
3度目の転校で初めて親友ができた。

M理ちゃん。

トイレに一緒に手をつないで行く仲だった。

私は同じクラスのK君という男の子を好きになった。

何故その子を好きになったのか覚えていない。

親友のM理ちゃんが「K君が好き。」といったから、きっとその瞬間から好きになったのだろう。

女の子にはそういうことがある。

すぐ共鳴してしまう時期があるのだ。


5年生になってクラス替えがあり、私達ふたりはK君とは別のクラスになった。

ちょうどその頃、校内放送で流れた歌の替え歌で、K君を囃したてる声があちこちから聞こえてきた。
それはこんな歌だった。


・・K、K、K! Kちゃんが好きなもの・・
・・一番目に好きなのは、M理ちゃん・・
・・二番目に好きなのは、るるちゃん・・


二番目・・・。好き・・・。



その言葉を頭の中で何度も交互に噛み締めてみた。

好き・・・という言葉には甘い響きがあった。
でも二番目・・・その途端、鼻の奥がきゅっと痛む感じがした。

そっとM理ちゃんを見ると、顔を真っ赤にして下を向いている。



そのうち、K君とM理ちゃんは相思相愛だという噂が流れはじめた。
それでも相変わらずあの替え歌は歌われている。


・・二番目に好きなのは、るるちゃん・・


二番目でも好き・・・? でも・・・
私はこんなに好きなのに。私はK君が一番に好きなのに・・・。
隣の席のY君が猛烈なアタックをかけてきても見向きもしなかった。

K君は廊下ですれ違う時、たまにこっちを見て笑ってくれた。
嬉しかった。
でもM理ちゃんには、全身を真っ赤にして目も合わせようとしない。
この時私は、K君は本当にM理ちゃんが好きなんだとわかった。

一番目と二番目にはものすごく大きな差があると思った。




M理ちゃんと少し距離ができたようで淋しかった。


M理ちゃんが最初に好きになったんだから、
M理ちゃんは学年一の美人だし、
M理ちゃんにはお母さんがいない。

だから、M理ちゃんのほうが幸せになる権利があるような気がした。

悲しかったけれど、
私は二番目でもいいと思った。
二番目でも、ちょっとだけ好きでいてくれればいいや、と思った。

M理ちゃんとは、私が5年生の終わりに転校するまでずっと仲良しだった。
トイレもずっと一緒に手をつないで行っていた。


*****************************

この話は、あるきっかけで心の鍵を開けた時に、記憶の底から出てきたものです。
今から考えると、自分のことよりも、あの替え歌を聞いていたM理ちゃんは、あの時どんな気持ちだったんだろうと考えてしまいました。
2番目に好きな子なんか、いてほしくなかったのではないかと想像します。

私は、K君にとっても二番目だったけど、同時に私自身が、二番目のM理ちゃんであったような気がしてなりません。

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