能登(日本道)への道 その33 真垣の里への旅
これから、津村希一家が住んだ桶作家のある輪島市の大沢地区に向かう。
出発はレンタカーの停車している住吉神社で、目的地は真垣の里として有名な大沢地区の中ほどにある田中屋旅館である。
ところで、間垣とは長さ約4メートル程のニガ竹という細い竹隙間なく並べてつくった垣根のことで、日本海から吹き付ける冬の強い風から家屋を守るためのもので、冬は暖かく夏も陽射しを遮る役目を果たしている。
間垣がずらりと並ぶ姿はどこか異様で、どこか異国の国にでもいるような風景である。
こんな風景を見たくて、目的地までの距離11.5km到達予定時間15分の旅に出た。
ここは光浦町の光浦海岸で、このあたりまでは道もまあまあ広くて風もそこまでは強くふいていなかった。
ここからの道中が未舗装で狭いすれ違いもやっとな難道で、その上この日は強風注意報も出ているくらいの悪天候となっていた。
晴れてはいるがこんな道路条件なので、本来は15分で行けそうな距離の大沢地区に30分はかかりそうな程のローペースでレンタカーを進めた。
中間地点となったあたりでますます風が強くなってきたので、どこか休むところを探していたら、民宿漁火の看板が出ていたので、簡単に行けると思って道を下った。
しかしここは道が曲がっているうえに慣れないレンタカーで行けるような場所ではなかった。
それでも何とか無事に民宿漁火に到着した。
ここは朝ドラのロケスタッフの休憩場所や食事場所として使われたというが、俳優さんたちは随分怖い思いをしたのではないか。
車から降りてうろうろしていたら、漁火の関係者らしきおじさんに「何しに来た」みたいな目で見られた。
「ここまでくる道中が怖かった。これから先の大沢までの道が非常に心配だ。」というようなことをおじさんに話したら、おじさんはかえって面白がって、持っていたつまみ昆布まで僕にくれながら、「こんな風の強い日に大沢に行って、そこでの生活がどんなに大変なことか知るのも大事なことだ。」と、かなり怯えている僕の背中を強い口調で押してくれた。
この「まれの丘」は私有地で畑となっていたので、作物を踏まないように注意しながら、ドラマの大切な場面で使われた丘からの風景を見てから、すぐにこの地を去った。
旅先で事故にあっては元も子もないので、賢明な判断をした自分を、自分でしっかり褒めた。
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